師匠シリーズ
その人は机に手を触れながら、明るい表情で言う。 「元々この土地は私の家のものだったから、廃校になったあと返してもらったのよ。ボロの校舎付きでね。壊してもいいんだけど、今は家に私と母がいるだけだから、おうちなんて小さくていいもの。ほら、校舎の…
それから三日くらい、僕らはひたすら川で泳ぎ回っていた。 とにかく暑かったからだ。 川は海よりも体が浮かなくて、しかも流れがあるので、岸に上がった時にドッと疲れる感じ。 その川には小さな橋が架かっていて、その上から飛び込むのが僕たち子どもの格好…
師匠から聞いた話だ。 長い髪が窓辺で揺れている。 蝉の声だとかカエルの声だとか太陽の光だとか地面から照り返る熱だとか、そういうざわざわしたものをたくさん含んだ風が、先生の頬をくすぐって吹き抜けていく。 先生の瞳は、まっすぐ窓の外を見つめている…